老川渡航記録 カナダ編。
- oikawa kazuma
- 8月11日
- 読了時間: 5分
こんにちは。
2025年5月、私老川がお酒造りを志すキッカケとなったカナダ•バンクーバーへ、10年ぶりに行ってきました!

私、老川は昔ワーキングホリデーでバンクーバーに渡り、現地のレストランでバーテンダーをやっておりました。
そこで、休日に先輩に連れて行ってもらった、同BC州オカナガン地方のワイナリー及びマイクロディスティラリー、ブルワリーに感銘を受け、自身も酒造開業をしたのであります。
10年ぶりに訪れ、あたらめて感じた事や、酒造業者となった現在の視点など、とても勉強になったので、このブログに記録しておきたいと思います。

まずカナダは日本の27倍の国土を誇り、食糧自給率も200%を超える、超農業大国です。
つまり、お酒造りもそれだけ盛んだというとこです。
カナダの西部、BC州(バンクーバーも同州)の内陸部に位置するオカナガンはフルーツ産業が盛んな地域で、林檎、桃、ブドウ、チェリーなど様々なフルーツを栽培しています。
また、世界でも有数のワイン生産地でもあります。詳しくはこちらの方のブログをご参考にどうぞ。
カナダワインといえばアイスワインをイメージされるかと思いますが、赤・白様々なワインを作っていて、180を超えるワイナリー、サイダリー、蒸留所が所狭しと並び、一大観光名所となっています。

僕はその中でも、ファミリー経営の小規模な製造所が好きです。
小さな設備で、地元のフルーツを余すところなく使い、地元での消費が9割以上を占める。
地域に根ざすお酒造りを行うことを体現している生産者にいつも刺激を受けます。
今回の視察で特に刺激を受けた製造者を3社ほど紹介したいと思います。
1.Maple Leaf distillery
こちらはオカナガンでは珍しい、フルーツブランデーに特化した蒸留所。
主に地元のチェリー、洋梨を使ったブランデー及びブランデーベースのリキュール、ジンなとを手掛けている。
長期熟成タイプのブランデーなどもある。
めちゃくちゃローカルでラベルも自宅のプリンターで印刷して貼っていた。
消費者の内訳は地元9割、アメリカからの観光客で1割。
まさに地元密着型の蒸留所のロールモデルだと思った。
フルーツの生産量は多い地域ですが、ブランデーの製造事業者は少なく、同地域では1番の老舗。
カナダの品評会でも高い評価を得ている。

所長と商品ラインナップ

2.PAINTED ROCK ESTATE WINERY
こちらのワイナリーはちょうど僕がカナダにいた頃は新興のワイナリーであった。
カナダのフーディーやワイン愛好家など様々な人の出資によって作られたワイナリーである。
長期熟成タイプの赤ワインがメイン。
投資の規模=品質
を体現しているワイナリーの一つだと思う。
オカナガンの丘を切り開き、最高のロケーションにあるワイン畑と高級感のあるビジターセンター•テイスティングルームを有している。
特に、ボトルを購入すると
飲み頃の年表を渡させる。
おすすめは10年以上の瓶内熟成。
カナダ産ワインの中で最高品質を目指す覚悟を感じるワイナリーである。



3 LA PETITE ABEILLE CIDER
こちらは比較的新しいサイダリー。
ヨーロッパの田舎町のような素敵なビジターセンターで、ワインのようなエチケットのサイダーを楽しめる。
日本のサイダリーの多くはりんごの品種や酵母違いによってバリエーションを多くしている印象があるが、
こちらはりんごだけではなく、
洋梨や、桃、チェリーなど、地元のフルーツ、ハチミツなどを余す所なく合わせた作りが特徴だ。
甘口から辛口まで、様々な種類があって、アルコールのボリュームも控えめ、飲み疲れせず、フルーツの香りもしっかりと楽しめる。
なぜか日本でリキュールを作っていると言ったら、アマレットとアプリコットのリキュールをもらった。
どちらかというとヴァンドリキュールのようなフルーツ感満載な味わいで非常に美味であった。
アメリカからの観光客も多いそう。


とりあえず備忘録的に3カ所、特に気に入った製造場を挙げてみました。
1日では全然回りきれないので、もし行くのであれば、3泊4日くらいで行くのがオススメ。
ホテルではキッチン付きの部屋が多いので、ワインやサイダーを買ってBBQなどをしながら楽しむ。というのが観光客には人気。
山火事によるワイン畑の焼失や人材不足、価格高騰、若年層のお酒離れなど、取り巻く環境は年々厳しくなっているようだが、改めてお酒作り=ロマン、がある業種だなぁと思った。
またすぐにでも行きたい!
あと、ワイナリーは投資家多すぎ。羨ましい。大手資本による小規模事業者の買収が盛んに行われていた印象でした。
いいお酒を作る=時間がかかる=資金が必要
これは全世界共通。
特に私自身もそうであるが、日本では自己資金で初めて畑から製造まで一貫して行っている事業者さんが多い。
これは世界的にはすごく珍しいし、逆に日本は市場参入がしやすい環境なんだと思いました。
アルコールへの税金も安いし。
ここの点は日本の良さをすごく感じました。
ただ、マーケットの話になると別で、
大手による価格競争もシビア。日本では2000円以上のお酒を日常的にどう消費してもらっていくのか課題があります。
今回紹介した3社は価格帯が日本円で3000〜以上、だけどほとんどが同地域で消費されていた。
凄い事だ。
新しいお酒のマーケットをどうやって作るのか。
地域にリキュールをどうやって馴染んでもらうのか。
ローカルメーカーである私のミッションであるとも感じた視察でありました。
まずは背伸びをせずに少しずつ、日本の素敵な農産物を最高の形で商品にして行ければなぁと思っております。
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